妖怪司書の本棚

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『怪異学の地平』

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『怪異学の地平』

著者:東アジア恠異学会 編

出版地:京都

出版者:臨川書店

出版年:2018.12

大きさ容量等:343p ; 22m

目次

序文(西山克)…5

I . 〈怪異〉をめぐる言葉の定着
日本古代の「怪」と「怪異」ー「怪異」認識の定着(大江篤)…11
 はじめに
 一、『古事記』『日本書紀』にみる「怪」
 二、『万葉集』『風土記』にみる「怪」
 三、『続日本紀』以下五国史にみる「怪」
 むすびにかえてー「物怪」とは

異と常ー漢魏六朝における瑞祥災異と博物学(佐々木聡)…40
 はじめに
 一、漢代における災異説の展開
 二、「常」と「異」 
 三、祥瑞災異と博物学の関係性
 おわりに
日本古代の「祟」の成立とその周辺ー西大寺の建設をめぐって(久禮旦雄)…60
 はじめに
 一、「祟」をめぐる視点ー近年の研究動向から

 二、西大寺建立と神祇官による「祟」の主張
 三、西大寺建立と称徳天皇朝の「神護」の主張
 四、藤原永手の死をめぐってー『日本霊異記』と『続日本紀
 おわりにーさまざまな「語り」の中で

室町時代石清水八幡宮の怪異(山田雄司)…82
 はじめに
 一、石清水八幡宮における怪異
 二、対外危機と怪異
 三、将軍の死と怪異
 おわりに

近世怪異が示す射程ーひろたまさきの「妖怪」論を手掛かりにして(木場貴俊)…101
 はじめに
 一、ひろたまさきの「妖怪」論
 二、「妖怪」論の淵源
 三、近世怪異に関する論点

 おわりに

II . 〈異〉〈他〉の広がりと認識
妖怪・怪異・異界ー中世説話集を事例に(久留島元)…123
 一、「妖怪学」の成果
 二、「怪異学」からみる説話
 三、「怪異」認識の変化
 四、「異界」研究
 五、〈他〉の認識と怪学

 六、「異界」「他者」との交渉
キリシタン」の幻術ー『切支丹宗門来朝実記』系実録類と地域社会の「キリシタン」(南郷晃子)…146
 はじめにー「キリシタン」の伝承と旅人
 娯楽化する「キリシタン
 『切支丹宗門来朝実記』系実録写本について
 「キリシタン」の「手妻」
 米沢における「キリシタン」の幻術
 内部の「キリシタン

 来世をうつす鑑
 来朝記系実録類と伊吹モグサ
 路上の「キリシタン

 おわりに
六朝志怪における西方仏教説話の選択受容(佐野誠子)…168
 はじめに
 一、『観世音経』応験譚
 二、歴史化の欲求

 三、身近な人物としての受容
 おわりにー『観世音経』応験の枠を超えて
海の驚異ー異界・異類についての博物誌と物語をめぐって(近藤久美子)…187
 はじめに
 『被造物の驚異と万物の珍奇』にみられる海の異類
 『千一夜物語』の海人
 ホラーサーンのシャフルマーン王の物語
 陸のアブド・アッラーフと海のアブド・アッラーフの物語
 まとめにかえて

III . 〈神仏〉と〈化物〉の間
「妖怪」を選ぶ(化野燐)…217
 はじめに
 一、幽冥教
 二、神仏以外に人の怖るる物
 三、「妖怪」の種目
 四、「妖怪」の語彙
 五、「魔物」と「妖怪」
 六、「妖怪」の名彙
 七、『日本民俗学入門』の「妖怪」

 おわりに/『日本民俗学入門』の先へ
「件(くだん)」の成立ー近世の古代的言説「近世的神話」の中で(榎村寛之)…243
 一、件とは何か
 二、「件」が見られる河原巻物
 三、「件」が見られない河原巻物
 四、脱・陰陽道と近世「神話」

 五、予言獣「件」への道
 おわりに
護符信仰と人魚の効能(笹方政紀)…267
 はじめに
 一、予言獣の媒体と機能
  かわら版 護符・呪符
 二、人魚について
  先行する怪魚 人魚の効能
 三、神社姫の解体
  海神の使者と託宣 攘災と招福 疑似護符
 四、転写する呪い
 五、神社姫の展開
  大坂の姫魚 尾張の人魚
 六、神社姫以前と以後の予言
  馬の物云事 嘉永二年の人魚

 おわりに
蜘蛛塚考(村上紀夫)…286
 はじめに
 一、大禅院の大蜘蛛
 二、祇園社御旅所の記憶
 三、祇園社御旅所の近世
 おわりに

睡虎地秦簡『日書』詰篇にみる神・鬼・人ー『日書』の担い手を探る(大野裕司)…304
 一、問題の所在
 二、詰篇総論にみる『日書』の担い手の自己認識

 三、詰篇本文にみる『日書』の担い手の活動
 四、『日書』の担い手は「巫」か?

 

特別寄稿・値冷えの彼方と椽の下(京極夏彦)…327

あとがき …337