妖怪司書の本棚

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『怪異を媒介するもの』

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『怪異を媒介するもの(アジア遊学187)』

著者:東アジア恠異学会 編

出版地:東京

出版者:勉誠出版

出版年:2015.8

大きさ容量等:292p ; 21cm

目次

はじめに(大江篤)…4

【 I 記す・伝える】
霊験寺院の造仏伝承ー怪異・霊験譚の伝播・伝承(大江篤)…7
 はじめに
 一、霊験寺院・長谷寺の造仏伝承
 二、吉野比蘇寺における霹靂木の造仏ー媒介者としての法相宗
 三、稽文会・稽主勲の造仏伝承の天海
 四、長谷寺縁起から誓願寺縁起へー造仏伝承の変奏
 五、造仏伝承の近世的展開ーさかれんげ阿弥陀如来
 おわりに

風土記』と『儀式帳』ー恠異と神話の媒介者たち(榎村寛之)…24
 一、「神話」の文明化
 二、常陸の神話とその媒介者
 三、伊勢に派生する神々ー『儀式帳』の神話感覚 
 四、『出雲国風土記』に見る地域神話の吸収と再編
 五、神話の媒介者たち
コラム・境界を越えるものー『出雲国風土記』の鬼と神(久禮旦雄)…38
 一、『出雲国風土記』の「目ひとつの鬼」
 二、『風土記』は「神話」を語るか
 三、境界を越えるもの 
 四、「鬼」と「神」の間に
 おわりに
奈良時代・仏典注釈と霊異ー善珠『本願薬師経鈔』と「起屍鬼」(山口敦史)…43
 はじめにー死体蘇生の民俗から
 一、善珠『本願薬師経鈔』の「起屍鬼

 二、中国の「起屍鬼」関係記事
 三、日本における〈死体蘇生術〉の系譜
 おわりに
コラム・古文辞学から見る「怪」荻生徂徠『訳文筌蹄』『論語徴』などから(木場貴俊)…55
 はじめに
 一、『訳文筌蹄』に見る「怪」
 二、『論語』「子不語怪力乱神」の解釈をめぐって
 おわりに
「妖怪名彙」ができるまで(化野燐)…61
 はじめに
 一、「妖怪名彙」のカード
 二、“妖怪”カードの情報源
 三、情報源の推移

 四、「妖怪名彙」の連載と目的
 五、おわりに 環流する「妖怪名彙」

【 II 語る・あらわす】
メディアとしての能と怪異(久留島元)…75
 一、能のシステム
 二、「夢幻能」以前
 三、異類へのまなざし
 四、集積される知
江戸の知識人と〈怪異〉への態度ー“幽冥の談”を軸に(今井秀和)…82
 一、怪談文芸と〈怪異〉
 二、荻野梅塢と仙童寅吉の論争
 三、転生勝五郎ブームと知識人
 四、知識人のサロン的集団

 五、〈怪異〉への態度
 六、〈怪異〉と政治性
コラム・怪異が現れる場所としての軒・屋根・天井(山本陽子)…94
 一、身近な怪異の場所
 二、軒端の幽霊
 三、さかさまの幽霊
 四、屋根や軒から出現する理由
 五、軒や屋根に現れる怪異
 六、地上七・八尺という高さ
 七、失われる空間
クダンと見世物(笹方政紀)…100
 はじめに
 一、近世の動物見世物
 二、近代以降のクダンの見世物
 三、近世のクダンの見世物
 結びにかえて
コラム・霊を捉えるー心霊学と近代の作家たち(一柳廣孝)…115
 一、近代日本と心理学
 二、霊を捉えるー文学場での動向
「静坐」する柳田国男(村上紀夫)…119
 はじめに
 一、柳田国男と岡田虎二郎
 二、「岡田式静坐法」とは
 三、静坐と柳田民俗学
 おわりに

【 III 読み解く・鎮める】
遣唐使の慰霊(山田雄司)…131
 はじめに
 一、遣唐使死没者の慰霊
 二、仁明朝における災異
 三、帰朝できなかった遣唐使の思い

 おわりに
安倍吉平が送った「七十二星鎮」(水口幹記)…145
 一、藤原実資の移徙
 二、『鎮宅霊符縁起集説』と『太上秘法鎮宅霊符』
 三、「七十二星鎮」の記事
 四、「七十二星鎮」とは何か

 五、「七十二星鎮」のはじまり
 六、「七十二星鎮」のかたち
コラム・戸隠御師と白澤(熊澤美弓)…159
 一、戸隠神社と戸隠御師
 二、神獣・白澤
 三、戸隠の「白澤避怪図」
 四、白澤と戸隠御師
天変を読み解くー天保十四年白気出現一件(杉岳志)…164
 はじめに
 一、幕府天文方と幕閣
 二、陰陽頭と朝廷
 三、藩の天文家と為政者・当局者
 四、白澤と戸隠御師
 五、江戸市中の人々
 おわりに

コラム・陰陽頭土御門晴親と「怪異」(梅田千尋)…177
 はじめに
 一、土御門晴親の「怪異」
 二、土御門晴親とその時代
吉備の陰陽師 上原大夫(木下浩)…182
 はじめに
 一、上原大夫の歴史
 二、江戸期の上原大夫の職務
 三、近代の上原大夫の職務
 四、上原大夫の衰退
 おわりに

【 IV 辿る・比べる】
王充『論衡』の世界観を読むー災異と怪異、鬼神をめぐって(佐々木聡)…189
 はじめに
 一、祥瑞災異思想と天人相関
 二、王充『論衡』の鬼神論
 三、『論衡』に見える後漢代の世界観
 むすびにかえて
中国の仏教者と予言・讖詩ー仏教流入期から南北朝時代まで(佐野誠子)…206
 一、古代中国における予言と予言者、そして僧侶
 二、後趙の仏図澄
 三、梁の宝誌
 四、北魏の霊遠
 五、北周の衛元嵩
 六、北斉の恵炤
 七、隋の尼智仙

コラム・中国の怪夢と占夢(清水洋子)…221
 はじめに
 一、「悪夢」について
 二、「怪夢」について
 おわりに
中国中世における陰陽家の第一人者ー蕭古の学と術(余欣、翻訳:佐々木聡・大野裕司)…227
 はじめに
 一、陰陽五行学の理論の系譜についての再検討

 二、蕭古の陰陽五行学の論理と実践
 (1)鼠妖(鼠の怪異)
 (2)回風(つむじ風)
 (3)桃湯と葦火
 (4)謝土と置五帝坐、蝦蟆(カエル)
 四、白澤と戸隠御師

台湾道教の異常死者救済儀礼(山田明広)…249
 はじめに
 一、正常死と異常死
 二、道教の功徳儀礼
 (1)行われる機会
 (2)功徳儀礼の構成例
 (3)主要儀式の意義・効能
 三、亡者の死因とそれに対応する死者救済の儀礼

 四、異常死者救済儀礼の実際
 おわりに
コラム・琉球の占術文献と占者(山里純一)…259
 はじめに
 一、「時双紙」と「砂川双紙」
 二、「観音霊籤」と使用者
 三、易占書と使用者
 四、朝鮮の占書の移入
 おわりに
コラム・韓国の暦書の暦注(全勇勲)…265
 はじめに
 一、朝鮮の暦書
 二、暦日と暦注
 三、暦注の記入法
 四、節日に付けられる暦注
 五、朝鮮の暦書における暦注の変化
アラブ地域における夢の伝承(近藤久美子)…272
 一、古代の夢伝承
 二、巫覡による夢の予言
 三、共同体の長による夢解釈
 四、イブン・シーリーンの夢解釈
 五、説話集にみられる王と夢解釈
 六、ハールーン・アッラシードの見た夢

 おわりに
コラム・〈驚異〉を媒介する旅人(山中由里子)…287
 はじめに
 一、驚異への関心
 二、驚異の目撃者
 三、媒介者としての旅人
 四、アレクサンドロスが見た東方の驚異