妖怪司書の本棚

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『異界と日本人』

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『異界と日本人(角川ソフィア文庫)』

著者:小松和彦

出版地:東京

出版者:KADOKAWA

出版年:2015.7

大きさ容量等:206p ; 15cm

目次

異界論のすすめ …6

序章 異界をめぐる想像力 …9

「異界」とはなにか 人間の心の「闇」 境界の両義性 神と妖怪

第一章 反魂の秘術—『長谷雄草紙絵巻』 …21

長谷雄、鬼と双六の勝負をする 西行も知っていた鬼の秘術 人を作る「反魂の秘術」 陰陽道と「生活続命の法」

第二章 源頼光酒呑童子—『大江山絵詞』 …33

大江山酒呑童子退治 安倍晴明泰山府君祭 追儺会と頼光一党 猿神退治の系譜

第三章 妖狐の陰謀—『玉藻前草紙絵巻』 …47

安倍泰成、那須野の妖狐を退散させる 陰陽師の悪霊祓い儀礼とその説話 武士と宗教者 王権説話としての妖怪退治譚 歴史的背景

第四章 龍宮からの贈り物—『俵藤太絵巻』 …61

俵藤太、百足の妖怪を退治する 妖怪百足のイメージ 土着勢力の争いと新来勢力 富の象徴としての「俵」「巻絹」と「童子

第五章 龍宮の逆説—『浦嶋明神縁起絵巻』 …75

浦嶋太郎の龍宮訪問 龍宮の多重イメージ 約束の違反と龍宮の時間 「四方四季の座敷」

第六章 天界への通路—『天稚彦草子絵巻』 …91

天界訪問譚としての日本の七夕説話 異界往還のための衣装としての蛇の皮 「唐櫃」の二重性あるいは「打出の小槌」と「玉手箱」 天の架け橋としての「一夜ひさご」 昔話「天人女房」との類似

第七章 義経の「虎の巻」—『御曹子島渡』 …107

義経、鬼の大王の秘巻を盗み取る 変形された龍宮訪問譚 「虎の巻」とはなにか 「虎の巻」と義経 「虎の巻相伝の次第」 安倍晴明の『金烏玉兎集』

第八章 天狗と護法童子—『是害房絵詞』 …121

是害房天狗、比叡山の高僧に挑戦する 護法童子の活躍 天狗と神隠し 怨霊天狗と天狗の内裏

第九章 狐の「浄土」と異類婚姻—『狐草紙絵巻』 …137

老僧、狐にばかされる 狐の世界の時間と空間 異類婚姻と異界 狐の子どもとしての安倍晴明 狐の化け方

第十章 百鬼夜行のパレード—『付喪神絵巻』 …153

小道具の妖怪「つくも神」 古道具、百鬼夜行となって跳梁する 新しい妖怪登場の萌芽 『百鬼夜行絵巻』の登場

第十一章 幽霊の近世—『死霊解脱物語聞書』 …167

祐天上人、菊に憑いた累の怨霊を成仏させる 怨霊から幽霊へ 村落共同体と排除・差別 異界物語の誕生 異界の変容と妖怪・幽霊の衰退

終章 異界観の変容と妖怪文化の娯楽化 …183

江戸の異界観 百物語怪談会と百物語 多様化する妖怪たちとそのキャラクター化 江戸妖怪文化の集成としての『稲生物怪録』 見失われた異界と妖怪の回復

あとがき …199

文庫版あとがき …204

 

*『異界と日本人(角川選書)』(角川書店, 2003.9)を文庫化