妖怪司書の本棚

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『妖怪草紙』

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『妖怪草紙:荒俣宏vs.小松和彦(学研M文庫)』

著者:荒俣宏, 小松和彦

出版地:東京

出版者:学習研究社

出版年:2001.11

大きさ容量等:365 ; 15cm

目次

序論・安倍晴明を遊覽する 小松和彦 …5

陰陽道の英雄 魔術的生涯 妖怪との接点に立つ男

対談・怪の消息 荒俣宏+小松和彦

第一談 暗闇の章 …17

鬼のリアリティを見失ってしまった事 妖怪たちが実在していた事 怖さの背景が消えつつある事 闇を忘れさせた日本的照明の事 ノッペラボウが現代を象徴している事 誰も解いてくれない「お稲荷さん」の謎の事 天井裏と子供が入ってはいけない空間の事 鬼の生活に対するあこがれの事 妖怪出現の音と怪談芝居の事

第二談 河童の章 …75

大工と河童の深い関係の事 女に弱かった安倍晴明の事 妖怪を名状する村の故老の事 中世以前の悪党パワーが失われた事 サーカスに売られる怖さとフリークスの事 酒呑童子の近代的自我の事 ディズニーランドと『エイリアン』の事

第三談 龍宮の事 …115

近世になって夢が個人化した事 江戸のアルコール中毒と精神異常の事 龍神がふつうのおじいさんである事 龍の目玉をしゃぶって育った子供の事 異界の内裏には何かが欠けている事 世界の境界とメディアとしての珠の事 龍や鬼にシンパシーを感じてしまう事 明治維新でも水軍が活躍していた事 京が情報センターの機能を失った事 残っているからこそ見せない京都の不気味さの事 安倍晴明がいやな奴だったかもしれない事

第四談 天狗の章 …191

吉備真備が中国から「虎の巻」を伝えた事 天狗が間抜けになってしまった事 「虎の巻」をめぐる陰のネットワークの事 天狗が無理矢理に技を教えてくれる事 鬼と鬼殺しの先祖はいっしょである事 お雛様が家庭の中の内裏である事

第五談 釣糸の章 …231

太公望がただの釣り好きではなかった事 ウォーター・フロントの恐怖の事 釣針と剣と龍退治の事 「星」が反逆のシンボルになった事 社会が無菌状態になりつつある事 道を国家に盗まれてしまった事

第六談 狐狸の章 …269

得体の知れない荼吉尼天の魔術の事 龍と狐の役割が交換可能だった事 犬と狐のイメージが混同された事 異様なものたちの両義性の事 メジャーな妖怪になれなかったムササビの事

第七談 付喪の章 …299

時代とともに変わった「百鬼夜行」のイメージの事 「付喪神」がヨーロッパにいない事 日本建築が魔物の侵入に無頓着だった事 「祖先の霊」が商売の種になった事 今も残る「小学校の七不思議」の事 新しい怖さが生まれつつある事

後論・メトロポールに幽霊が出るまで 荒俣宏 …333

自然の夜の側面 鬼門と百物語 幽霊屋敷化する学校 映画『帝都物語』撮影中の怪 来るべき幽霊屋敷

参考文献 …352

 

*『妖怪草紙:あやしきものたちの消息』(工作舎, 1987)を文庫化。