妖怪司書の本棚

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『呪いと日本人』

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『呪いと日本人(角川ソフィア文庫)』

著者:小松和彦

出版地:東京

出版者:KADOKAWA

出版年:2014.7

大きさ容量等:236p ; 15cm

目次

 

プロローグ—なぜ、いま「呪い」なのか …11

 「呪い」との出会い

 現代に生きる「呪い心」

 誰かがあなたを呪っている

1章 蘇る「呪い」の世界 …23

 「呪い」をめぐる試作のはじまり

 医者でもなおせない病気

 「生霊」が、他人に災いを及ぼす

 犬神は、富も災いももたらす

 犬神憑きとの出会い

 犬神対祈禱師の戦い

 「呪い」のスペシャリストが、「呪い」をでっち上げる

 呪詛信仰・いざなぎ流

 「返りの風を吹かして」人を呪う

 悪魔・外法を切り刻む

 どうしたら人を呪い殺せるか

 「祭文」が教える「いざなぎ流」の起源

 いざなぎ流祈禱師は、「外法使い」か

 ある呪いの物語

 呪詛の起源と報酬のシステム

 なぜ、現代人は水子の祟りを気にするのか

 呪いの世界へのタイムマシン

2章 なぜ、人は「呪い」を恐れるのか …71

 「おまえを呪ってやる!」

 「呪い」が支配する世界

 禁止するから、ますます呪う

 呪われた奈良王朝

 近い関係だからこそ、「呪い」が生まれる

 「呪い心」に説明を与える

 日本歴史を転換させた「死者の呪い」

 なぜ、死者を恐れるのか

 御霊—人間の恐怖心が「創造」した神々

 触らぬ神に祟リなし

 人を鬼と変える「呪い心」

 恐怖すべきは人の心

 人間社会は最初から呪われていた

 「正義の呪い」とは

 文明開化は呪い鎮めとともに

 動乱期に跋扈する怨霊

 社会を批判する死者の呪い

 なぜ、人は「呪い」を恐れるのか

 誰もが呪い、呪われる

3章 どのように呪うのか …119

 言霊信仰—言葉を発すれば、それが「呪い」となる

 「とこう」—記紀神話のなかの呪い

 呪禁道—呪的バリアで身囲い・身固めする

 蠱毒—動物の魂魄を操り、人を死に至らしめる

 厭魅—人形を責め、人を死に至らしめる

 呪術は技術なり—支配者を魅了するニュー・テクノロジー

 吉備真備の陰謀

 陰陽道—「式神」を操り、人を呪殺する

 密教の中核にある呪い信仰=調伏法

 密教調伏法—不動明王を操り、呪殺する

 「呪い」のスペシャリスト・空海

 神仏を責めたて、呪力をパワーアップさせる

 「逆さま」の呪法

 いまなお生き続ける密教調伏法

 狐を操る「外法」

 天皇即位の「秘法中の秘法」とは

 「荼吉尼天法」て鎌倉幕府を呪詛調伏した後醍醐天皇

 武田信玄上杉謙信が用いた「飯綱の法」とは

 敬愛法—男女和合のラブ・マジック

 神仏に無理やり「呪い」を引き受けさせる法

 神仏に釘を打ち込むだけで「呪い」が発動する

 「丑の時参り」の作法・その壱

 「丑の時参り」の作法・その弐

 「丑の時参り」の作法・その参

4章 「呪い」祓うシステムとは …179

 「水戸黄門」のラスト・シーン

 「呪い」が「ケガレ」を発生させる

 「ケガレ」は「外部」からやってくる

 「ケガレ」を祀り上げ、棚上げにする

 「桃尻」風、清少納言の祓いの儀礼

 呪術師が操る「ケガレ」を視覚化するトリック

 祭りがみんなを「晴れ晴れ」させる

 天皇に凝縮される国家の「ケガレ」

 社会的地位が上昇するほど集中する「ケガレ」

 日本人は、なにを「好ましくないケガレ」としたのか

 「鬼」の登場—「見えないもの」を「見えるもの」にするトリック

 誰が「鬼」を演じ、祓い捨てられたのか

 「ケガレ」発生の原因は為政者にある

 「右手に剣を、左手に数珠を」

 権力は、呪術によって支えられている

 「ケガレ」を祓う「ガス抜き」の儀礼

 「スケープゴート」を生み出す「フェイルセーフ」機構

 神仏までもが「スケープゴート」にされる

 次に「御祓い箱」にされるのは誰か

エピローグ—「人を呪わば穴ふたつ」 …229

文庫版あとがき …233

 

*『日本の呪い:「闇の心性」が生み出す文化とは (カッパ・サイエンス)』(光文社, 1988.2)に加筆・修正し、文庫化