妖怪司書の本棚

架蔵の妖怪本の書影・書誌・目次をひたすら誌す。

『新編・鬼の玉手箱』

f:id:Yokai_Librarian:20210506121040j:plain

『新編・鬼の玉手箱:外部性の政治学(福武文庫)』

著者:小松和彦

出版地:東京

出版者:福武書店

出版年:1991.4

大きさ容量等:325p ; 15cm

目次

I 民俗社会との交感

文化人類学との出会い …8

人類学と民俗学 構造主義の影響 初めてのフィールドワーク—憑きものとの出会い 憑きものの人類学的研究 いざなぎ流との出会い—高知県物部村の調査 「信貴山縁起絵巻」の構造分析 柳田ブームと民俗学批判 いざなぎ流の本格的研究に着手 ミクロネシアでのフィールドワーク

「外部性の民俗学」への道 …32

民俗学は現在学か 内なる異文化を視る装置 民俗社会の変容 貨幣の浸透と異人殺し 貨幣と富 富と鬼 交感の感情的価値 外部と禁忌 民俗学と現代都市文化 日本文化の「負」の領域への関心

II 闇の世界

山岳他界観の二つの位相 …56

時間軸と空間軸 死霊の籠る地 空間論的山岳他界観の対立するイメージ 仏教と山岳他界 修験道と山岳他界

熊野の神々 …67

仏教化以前の熊野信仰 山棲み文化 土佐の熊野信仰

神々との交感—物部村の精神世界 …75

「いざなぎ流」の信仰 呪詛の祭文 幸いと富を願う神祭り

呪いの言葉 …87

呪いの言葉の力 唱えられる呪いの言葉 呪力と願いの深さ

憑霊文化フィールドワーク …93

雨竜と海竜 落人の村 大蛇のたたり 祭りを乱した祟り 祈祷師の話 憑霊と祓い 犬神憑き 憑きものと現代人 憑霊と憑依 虎の巻 呪いの伝説

“他界”の民間伝承 …114

他界—「福の神」の世界 もう一つの他界 他界とのコミュニケーション

III 異界への橋

儀礼としての神話 …124

「神語り」の場 神のために語り唱えられる祭文 古代神話と語りの場

伝説を生む時代 …134

外在的歴史と内在的歴史 内在的歴史の宝庫・中世 内在的歴史から外在的歴史を見る 「酒典童子」を読み直す 熊野の本地

説話の形成と変遷 …149

出来事と説話 説話の発生 酒呑童子説話の誕生 説話の改変 文化の交流と文化の変化 

昔話の構造分析—「猿婿入」を中心に …162

昔話研究の発想の転換 人間社会と異類社会の交渉 『藤袋の草子』と「猿神退治」

日本の芸能と神秘思想 …185

芸の道と守護神の示現 『義経記』と鬼たち 鬼神たちの後胤

牛若丸と「虎の巻」 …185

茨木童子渡辺綱 …190

河童—イメージの形成 …196

「水虎」という動物 スポン、カワウソを見誤る 「河原者」の起源伝承

打出の小槌—お金と欲のフォークロア …202

欲張り長者の行末 他者からの贈り物としての「犬」 「長者」の原像

夢・悪霊・祟り …214

古代人にとっての夢 悪霊祓いと夢 異界への通路 夢文化は、今

秦河勝漂着伝説小考 …223

IV 鬼の時代

都市民俗学を夢想する …232

民俗学と現在学 都市人の「ケ」の生活 民俗学宇宙論の可能性

現代都市文化と民俗学 …239

民俗学からのアプローチ 日本人の心性

現代の正月 …244

文化装置としての正月

妖怪学と伝奇ロマン …249

奇とは何か? 光の文化と闇の文化の転換期

口裂け女」の意味論 …254

民俗的妖怪の逆襲 子どもの想像世界の分裂 「口裂け女」の原資 「口裂け女」のマスク 女性の両義性 「口裂け女」の伝統性 「口裂け女」と現代社

若者を魅了する妖怪ブーム …265

先のみえない時代 妖怪の心

ホラー映画ブームに想う …269

異界回復の運動 恐怖映画への来歴 ホラー映画は闇を回復できるか

現代に息づく民間伝承 …280

神秘主義と科学主義 フォークロア復権 

被爆一家に見る日本の家 …285

悪霊としての放射能 没落する「家」の物語

補陀落山と現代 …289

観音信仰と補陀落山 補陀落渡海 重い問い

スサノオは未来にも存在する …294

老人と子ども 永遠回帰の思想 翁童文化は回復できるか

「白」を好む現代人 …300

日本人の心を象徴 否定された闇

鬼の時代—衰退から復権へ …304

あとがき …308

文庫版のためのあとがき …311

解説 山折哲雄

 

*『鬼の玉手箱』(青玄社, 1986.10)に十数編を新たに収録