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『神々の精神史』

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『神々の精神史(福武文庫)』

著者:小松和彦

出版地:東京

出版者:福武書店

出版年:1992.1

大きさ容量等:378p ; 15cm

目次

序 神々の棲む村 …9

I 民話的想像力について

民話的想像力とその背景—『江刺郡昔話』の世界を探る …19

民衆の記憶装置 ウントク譚の分析 民話と文化的環境 記号論的観念の欠落 聖痕をもつ人間 座敷ワラシ 翁のイメージ 真正の歴史研究 

神霊の変装と人間の変装—昔話の構造論的素描 …56

対立と類似の発見 四つの昔話群 「田螺の長者」と「姥皮」 基本的モデルの提示 

怪物退治と異類婚姻—『御伽草子』の構造分析 …94

隠れた意味の発見 二つの異質空間 「酒呑童子」という物語 「小栗判官」の独自な構造 英雄譚「田村の草子」英雄と怪物との接合・同化

最後に笑う者—「物くさ太郎」にみる笑いとユーモア …130

不幸な状況 〈のさ〉と〈まめ〉 喜劇・笑話としての「物くさ太郎 情報伝達の媒介 日本的道化の系譜 愚者から智者へ 黒いユーモアの物語 読者の生活を告発

II 民衆の思想について

根元神としての翁—猿楽の翁と稲荷の翁を中心に …171

中世の神々の発掘 善・悪の二相 猿楽者の歴史 翁のイメージ 翁=稲荷大明神 肉体と精神の到達点

世捨てと山中他界—山岳空間の認識論的構造 …196

捨てられる側のイメージ 村落共同体と他界 遊行民の役割 空間の象徴的認識・分類 山岳の境界的性格 「世捨て」的空間の喪失

海上他界の思想—「うつぼ舟」を中心に …219

神話的形象・モチーフ 「距り」の徹底追究 「やつし」の背後にあるもの 沖縄の仮面行事 神の乗物・霊魂の容器 「補陀落渡海」の思想 「うつぼ舟」のモチーフ 「海修験」と「山修験」

屍愛譚をめぐって—伊弉諾伊弉冉二神の冥界譚を中心に …241

肉欲的性愛のイメージ 死美と屍愛の間 禁忌の侵犯・違反 屍体覗き 中国説話集の影響 禁忌の正体 美と精神の相剋

国占めと国譲りをめぐって—日本神話における占有儀礼 …267

土地の占有 境目のこちら側と向こう側 占有標示としての杖 神々の争い 巡行と異族征服 祭祀権の移行 史実の伝説化・儀礼的表現化 政治的立場の盛衰

III 筑土鈴寛の世界

筑土鈴寛の民俗学—異端のフォークロア …297

脱領域的知性 折口学の流れ 忘れられた民俗学者 享年四十五歳 一種の「始源学」 柳田民俗学への接近 人類学テーマにも踏み込 生と死の問題 中世的宇宙の探求 “異端”の返上へ

日本的記述の方法—筑土鈴寛論拾遺 …331

新鮮なイメージ 自己を読む行為 学問に反映する信仰 「慈円論」の有する意味 本居宣長を高く評価する 新たな迷宮の建設

筑土鈴寛と超世の霊童—筑土鈴寛論補遺 …354

旧版あとがき …363

増補新版あとがき …366

文庫版あとがき …368

解説 歴史/民俗学/方法 赤坂憲雄 /371

 

*『増補新版・神々の精神史』(北斗出版, 1985.6)の一部を削除