妖怪司書の本棚

架蔵の妖怪本の書影・書誌・目次をひたすら誌す。

『異界と日本人』

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『異界と日本人:絵物語の想像力(角川選書)』

著者:小松和彦

出版地:東京

出版者:角川書店

出版年:2003.9

大きさ容量等:196p ; 19cm

目次

異界論のすすめ …7

序章 異界をめぐる想像力 …9

「異界」とはなにか 人間の心の「闇」 境界の両義性 神と妖怪

第一章 反魂の秘術—『長谷雄草紙絵巻』 …19

長谷雄、鬼と双六の勝負をする 西行も知っていた鬼の秘術 人を作る「反魂の秘術」 陰陽道と「生活続命の法」

第二章 源頼光酒呑童子—『大江山絵詞』 …31

大江山酒呑童子退治 安倍晴明泰山府君祭 追儺会と頼光一党 猿神退治の系譜

第三章 妖狐の陰謀—『玉藻前草紙絵巻』 …45

安倍泰成、那須野の妖狐を退散させる 陰陽師の悪霊祓い儀礼とその説話 武士と宗教者 王権説話としての妖怪退治譚 歴史的背景

第四章 龍宮からの贈り物—『俵藤太絵巻』 …59

俵藤太、百足の妖怪を退治する 妖怪百足のイメージ 土着勢力の争いと新来勢力 龍宮からの贈り物 富の象徴としての「俵」「巻絹」と「童子

第五章 龍宮の逆説—『浦嶋明神縁起絵巻』 …75

浦嶋太郎の龍宮訪問 龍宮の多重イメージ 約束の違反と龍宮の時間 「四方四季の座敷」

第六章 天界への通路—『天稚彦草子絵巻』 …91

天界訪問譚としての日本の七夕説話 異界往還のための衣装としての蛇の皮 「唐櫃」の二重性あるいは「打出の小槌」と「玉手箱」 天の架け橋としての「一夜ひさご」 昔話「天人女房」との類似

第七章 義経の「虎の巻」—『御曹子島渡』 …105

義経、鬼の大王の秘巻を盗み取る 変形された龍宮訪問譚 「虎の巻」とはなにか 「虎の巻」と義経 「虎の巻相伝の次第」 安倍晴明の『金烏玉兎集』

第八章 天狗と護法童子—『是害房絵詞』 …119

是害房天狗、比叡山の高僧に挑戦する 護法童子の活躍 天狗と神隠し 怨霊天狗と天狗の内裏

第九章 狐の「浄土」と異類婚姻—『狐草紙絵巻』 …133

老僧、狐にばかされる 狐の世界の時間と空間 異類婚姻と異界 狐の子どもとしての安倍晴明 狐の化け方

第十章 百鬼夜行のパレード—『付喪神絵巻』 …149

小道具の妖怪「つくも神」 古道具、百鬼夜行となって跳梁する 新しい妖怪登場の萌芽 『百鬼夜行絵巻』の登場

第十一章 幽霊の近世—『死霊解脱物語聞書』 …163

祐天上人、菊に憑いた累の怨霊を成仏させる 怨霊から幽霊へ 村落共同体と排除・差別 異界物語の誕生 異界の変容と妖怪・幽霊の衰退

終章 異界観の変容と妖怪文化の娯楽化 …177

江戸の異界観 百物語怪談会と百物語 多様化する妖怪たちとそのキャラクター化 江戸妖怪文化の集成としての『稲生物怪録』 見失われた異界と妖怪の回復

あとがき …192

 

『福の神と貧乏神』

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『福の神と貧乏神(ちくま文庫)』

著者:小松和彦

出版地:東京

出版者:筑摩書房

出版年:2009.1

大きさ容量等:225p ; 15cm

目次

はじめに

 現代人は何を幸せと考えているのか …9

 「しあわせ」とは …12

 欲望の対象となるもの …17

第一章 「七福神」物語の世界

 福神とは …21

 「梅津長者物語」 …24

 「大黒舞」 …31

 「福」の具体的なかたちとは …38

第二章 福をさずける神々

 七福神に選ばれた神々 …43

 大黒天 …45

 恵比寿神 …50

 毘沙門天 …54

 毘沙門天と鬼 …58

 弁財天 …62

 布袋、福禄寿、寿老人はなぜ選ばれたか …66

 七福神になれなかった神々 …68

 人びとが福神に求めたこと …69

第三章 厄を祓い、福を売る

 ケガレとハレの両方にかかわった人びと …75

 猿楽のはじまり …81

 なぜ賤視されるようになったのか …84

 「下方」に排除された人びと …88

第四章 長者と貧者

 長者とはどういう人をいうのか …94

 「信貴山縁起絵巻」からの「徳」を積まないと失う「福」 …104

 現代の日本時にも生きる心性 …108

 農村世界にはない成りあがり …110

 だれが長者になれたのか …113

第五章 福神信仰の民俗化

 祝福芸人の門づけ …116

 門づけの唄 …119

 恵比寿の祭文 …124

 恵比寿の庫入れ唄 …127

 いざなぎ流「お恵比寿さん」 …132

 恵比寿信仰の「民俗化」 …133

 蓄積された「富」の放出 …137

 「厄祓い」と「言祝ぎ」を自分たちの手で …139

 「福」の観念の変化 …144

第六章 昔話のなかの「福の神」と「富」

 宴の象徴 …149

 「笠地蔵」にみる「福」の観念 …152

 異界との好ましい接触 …158

 善良な心に届けられる「富」 …161

 昔話が伝えるメッセージ …167

 ほどほどの「幸せ」 …169

第七章 「富」はどこからくるのか

 俵藤太伝説 …173

 福子伝承 …179

 民俗社会の因果物語 …184

 「異人殺し」伝承 …191

おわりに …197

あとがき …204

文庫版あとがき …207

主な参考文献 …214

解説 山泰幸 …219

 

*『福の神と貧乏神(ちくまプリマーブックス)』(筑摩書房, 1998.6)の文庫化。

『河童』

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『河童(双書フォークロアの視点)』

著者:大島建彦 編

出版地:東京

出版者:岩崎美術社

出版年:1988.4

大きさ容量等:216 ; 20cm

目次

 

水神信仰と河童 竹田亘 …7

田仕事と河童 千葉徳爾 …17

河童伝承と農神信仰について 坪井洋文 …45

九州の河童 丸山学 …55

水虎信仰 河上一雄 …73

 はじめに/一 水虎信仰の成立背景/二 水虎信仰の実態/三 水虎信仰の成立と展開/おわりに

河童の系譜 小野重朗 …92

 熊本南部のヤマンタロ・ヤマワロ/南島のケンムン・キジムン/山の神から河童へ

山にのぼる河童 奥野広隆 …118

 一 はじめに/二 熊本県における河童・山童の伝承/三 河童・山童の発生と展開/四 地域的特徴/五 結び

紀州河童の特徴 和田寛 …174

 はじめに/一 紀州河童の形態・行為/二 河童の別称/おわりに

解説 大島建彦

参考文献

『妖怪』

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『妖怪:ジャパノロジー・コレクション(角川ソフィア文庫)』

著者:小松和彦 監修

出版地:東京

出版者:KADOKAWA

出版年:2015.1

大きさ容量等:206 ; 15cm

目次

 

はじめに …18

第一章 妖怪出現! …23

第二章 妖怪の宴 …45

第三章 いざ、戦い …59

第四章 妖怪退散! …81

第五章 妖怪事典 …101

 河童 …102

 鬼 …106

 天狗 …110

 山姥・山男 …114

 幽霊 …118

 化け物いろいろ …122

 つくもがみ …136

第六章 偉大なる絵師たち …141

 北斎 …142

 国芳 …150

 芳年 …162

 石燕 …172

 芳幾 …178

 鴻山 …180

第七章 妖怪で遊ぶ …183

最終章 お化け大集合! …197

おわりに …204

『妖怪草紙』

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『妖怪草紙:荒俣宏vs.小松和彦(学研M文庫)』

著者:荒俣宏, 小松和彦

出版地:東京

出版者:学習研究社

出版年:2001.11

大きさ容量等:365 ; 15cm

目次

序論・安倍晴明を遊覽する 小松和彦 …5

陰陽道の英雄 魔術的生涯 妖怪との接点に立つ男

対談・怪の消息 荒俣宏+小松和彦

第一談 暗闇の章 …17

鬼のリアリティを見失ってしまった事 妖怪たちが実在していた事 怖さの背景が消えつつある事 闇を忘れさせた日本的照明の事 ノッペラボウが現代を象徴している事 誰も解いてくれない「お稲荷さん」の謎の事 天井裏と子供が入ってはいけない空間の事 鬼の生活に対するあこがれの事 妖怪出現の音と怪談芝居の事

第二談 河童の章 …75

大工と河童の深い関係の事 女に弱かった安倍晴明の事 妖怪を名状する村の故老の事 中世以前の悪党パワーが失われた事 サーカスに売られる怖さとフリークスの事 酒呑童子の近代的自我の事 ディズニーランドと『エイリアン』の事

第三談 龍宮の事 …115

近世になって夢が個人化した事 江戸のアルコール中毒と精神異常の事 龍神がふつうのおじいさんである事 龍の目玉をしゃぶって育った子供の事 異界の内裏には何かが欠けている事 世界の境界とメディアとしての珠の事 龍や鬼にシンパシーを感じてしまう事 明治維新でも水軍が活躍していた事 京が情報センターの機能を失った事 残っているからこそ見せない京都の不気味さの事 安倍晴明がいやな奴だったかもしれない事

第四談 天狗の章 …191

吉備真備が中国から「虎の巻」を伝えた事 天狗が間抜けになってしまった事 「虎の巻」をめぐる陰のネットワークの事 天狗が無理矢理に技を教えてくれる事 鬼と鬼殺しの先祖はいっしょである事 お雛様が家庭の中の内裏である事

第五談 釣糸の章 …231

太公望がただの釣り好きではなかった事 ウォーター・フロントの恐怖の事 釣針と剣と龍退治の事 「星」が反逆のシンボルになった事 社会が無菌状態になりつつある事 道を国家に盗まれてしまった事

第六談 狐狸の章 …269

得体の知れない荼吉尼天の魔術の事 龍と狐の役割が交換可能だった事 犬と狐のイメージが混同された事 異様なものたちの両義性の事 メジャーな妖怪になれなかったムササビの事

第七談 付喪の章 …299

時代とともに変わった「百鬼夜行」のイメージの事 「付喪神」がヨーロッパにいない事 日本建築が魔物の侵入に無頓着だった事 「祖先の霊」が商売の種になった事 今も残る「小学校の七不思議」の事 新しい怖さが生まれつつある事

後論・メトロポールに幽霊が出るまで 荒俣宏 …333

自然の夜の側面 鬼門と百物語 幽霊屋敷化する学校 映画『帝都物語』撮影中の怪 来るべき幽霊屋敷

参考文献 …352

 

*『妖怪草紙:あやしきものたちの消息』(工作舎, 1987)を文庫化。

 

『聖地と日本人』

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『聖地と日本人(角川ソフィア文庫)』

著者:小松和彦

出版地:東京

出版者:KADOKAWA

出版年:2021.3

大きさ容量等:258p ; 15cm

目次

プロローグ …7

日本文化の「秘められたもの」に近づくために 能楽は「聖地・異界」が映し出す装置 夢の中に登場する神仏 「異界」を覗き見る 京都人のとっての「聖地・異界」

鞍馬・僧正が谷—天狗の巣窟で牛若丸と出会う …23

鬼も大蛇も出る山 「虎の巻」に魅せられた人びと

清水・音羽の瀧—観音が結んだ縁 …32

豊饒を約束する聖なる水 男女の縁を結ぶ、清水の観音 清水の聖地は音羽の瀧

愛宕山—天界・魔界ともつながる空間 …42

太郎坊天狗が棲む山 火伏せ・火災除けの霊験

大江山・千丈ヶ嶽—酒呑童子の棲む山 …51

京都人が作り出した異界・魔界 もう一つの「鬼」退治伝説

葛城山—土蜘蛛伝説と修験道の聖地 …59

土蜘蛛が棲む古塚 「敗者」を祀る異界

貴船—心の闇を引き受ける場所 …69

心の「闇」に鬼が棲みつく 現代も生き続ける丑の刻詣り

河原院—化け物屋敷に棲む吸血鬼 …79

「化け物屋敷」の正体 物の怪が出現するのにふさわしい場所

比叡山横川—元三大師信仰の拠点 …87

「横川の小聖」が怨霊を退散 おみくじ発祥の地

稲荷山—謎が多い稲荷信仰 …97

「神」と出会い、技芸が成就 謎めく稲荷信仰

逢坂山—逆髪が語る「さかさまの思想」 …108

「関東」と「関西」の境はどこか 蟬丸とはいかなる神か

竹生島—「金輪際」から生まれ出た水晶輪の山 …119

自然崇拝の聖地・竹生島 地震鯰を押さえる「要石」の信仰

芦屋—鵺を神に祀った京都の聖地 …128

京に住む人の「あの世」 鵺を祀る「鵺大明神社」

吉野—金の御嶽と呼ばれた桜の名所 …138

仙人の住む山 王を蔵す吉野山

日高川道成寺法華経 …148

安珍清姫の物語 生贄の乙女を水神に捧げる

熊野—死と再生の舞台 …157

「死の国」のイメージ 「蟻の熊野詣で」のにぎわい

志度浦の龍宮—富も災厄ももたらす場所 …166

龍宮神話と王権 龍宮は敵にもなれば味方にも

上路—山姥の棲む山 …175

山姥とは何者か 山姥は母性のシンボル

天人の棲む世界—天界の王は鬼か …184

山間の湖に天女が舞い降りる 天女の父は鬼?

富士山—天界と地下界につながる「世界山」 …193

神格化された富士山 鎮火への祈りが神格化

立山—あの世の地獄がこの世に出現 …202

《善知鳥》が描く立山 罪を犯した死者が送り込まれてくる

白峯—最も恐れられた怨霊・崇徳院 …214

怨霊の鎮め方 最も恐れられた怨霊とは

那須野—三国伝来の妖狐の遺跡 …223

美女・玉藻前の正体とは 「げんのう」の由来

戸隠—鬼女に託された記憶 …232

鬼の隠れ棲む修験の聖地 鬼の正体は、男か女か

安達が原—鬼婆が出没する空間 …242

鬼女が棲むにふさわしい「異界」 「生き肝」へのこだわり

あとがき …252

角川ソフィア文庫版あとがき …255

 

*『誰も知らなかった京都聖地案内:京都人が能楽にこめた秘密とは』(国文社, 2006.4)を改題し、「日高川」を加えて文庫化。

『鬼と日本人』

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『鬼と日本人(角川ソフィア文庫)』

著者:小松和彦

出版地:東京

出版者:KADOKAWA

出版年:2018.7

大きさ容量等:269p ; 15cm

目次

鬼とはなにか …5

なによりもまず怖ろしいものの象徴 日本の妖怪変化史の太い地下水脈 鬼の子孫を名乗る人々 鬼の子孫が残した伝承 鬼はなお生き続けている

鬼の時代—衰退から復権へ …14

百鬼夜行」の図像化をめぐって …18

はじめに 説話に描かれた〈さまざまな怖ろしげなるものたち〉 現代人が抱く鬼のイメージを離れて考える 「百鬼夜行」の絵像を探る 「百鬼夜行」の絵画表現 『大江山絵詞』のなかの「さまざまな鬼たち」 「百鬼夜行絵巻」の誕生をめぐって

「虎の巻」のアルケオロジー—鬼の兵法書を求めて …47

鬼とは何か 牛若丸と「虎の巻」をめぐって 鬼たちのネットワーク 「虎の巻」相伝の次第 

打出の小槌と異界—お金と欲のフォークロア …62

欲張り長者の行末 異界からの贈り物としての「犬」 「長者」の現像

茨木童子渡辺綱 …74

酒呑童子の首—日本中世王権説話にみる「外部」の象徴化 …79

王権説話としての「珠取り」説話 中世王権説話としての酒呑童子説話 王土への鬼の出現 王土の周縁に至る 人間の世界と鬼の世界の境界に至る 老女の話す鬼王の様子 酒呑童子が語る身の上話 酒呑童子の最期 酒呑童子の首 宇治の宝蔵、あるいは「内部」の「中心」 王権説話としての酒呑童子説話

鬼を打つ—節分の鬼をめぐって …127

「年かえ」の晩 鬼と福の神と祖霊 「鬼の子小綱」と鬼追い

雨風吹きしほり、雷鳴りはためき……—妖怪出現の音 …140

民俗のなかの妖怪 『稲生物怪録』にみる怪音 雷雨と妖怪 鬼の芸能—「乱声」と「つけ」

鬼の太鼓—雷神・龍神・翁のイメージから探る …152

昔話のなかの雷神のイメージ 中世説話のなかの雷神のイメージ 雷神と雨乞い 鼓・笛の起源 雨乞面の翁・猿楽の翁・大黒舞

蓑着て笠着て来る者は……—もう一つの「まれびと」論に向けて …167

「まれびと」としての鬼 鬼を忌避する 鬼に扮する 鬼を打つ 「ナマハゲ」の鬼—その二面性 もう一つの「まれびと」論に向けて

鬼と人間の間に生まれた子どもたち—「片側人間」としての「鬼の子」 …205

「片側人間」とは何か 「異類婚姻譚」と「鬼の子小綱」の昔話 「異類聟・嫁入り」型の昔話群 「蛇」に対する両義的な態度 「片側人間」の二つのイメージ 「鬼の子」=鬼と人間のちょうど真ん中 日本文化の内奥に潜む“複雑な差異体系”

神から授かった子どもたち—「片側人間」としての「宝子・福子」 …238

再び「片側人間」を求めて 「異類聟・婿入り型」の昔話群 「異類女房」系統の昔話群 日本には存在しない「異類婚姻譚」 「片側人間」と神から授かった子ども

あとがき …265