『異界を覗く』
『異界を覗く』
著者：小松和彦 著
出版地：東京
出版者：洋泉社
出版年：1998.5
大きさ容量等：237p ; 20cm
目次
【壱】異界と異人の魅力的世界
「異界論」・「異人論」は学問の交差点 …9
三つの言葉、三つの領域の物語 「虫の目」から「鳥の目」へ変換 異界・異人を好まない民俗学者たち 異人研究の四つのグループ いまや、民俗学の領域は「草刈り場」
新たな「異人論」を目指して—「異人論」から「他者論」へ …22
積極的な異人、否定的な異人 異人モデルの四つの類型 共同体にやってくる両義的な異人 定着する異人、適応する異人 共同体の内部から生み出される異人 「脂取り」のフォークロアと異人幻想 「異人論」の最終目標とは？
「異人歓待」説に疑問を呈す—生かすも殺すも土地の人々次第 …51
「来訪神」と物語生成の現場 異人と来訪神は別々のもの 井上ひさしの戯曲と私の『異人論』 単純化できない「異人」解読装置 『日本書紀』は「異人排除」の物語 ときによって判断される異人の「富」 「異人殺し」伝承と「大年の客」伝承 来訪神排除と来訪神歓待 幅広いダイナミックな視点 開放度が高い社会と「異人殺し」 キャプテン・クックはなぜ殺されたのか？
【弐】異類婚姻と説話の宇宙
鬼と人間の間に生まれた子どもたち—「鬼の子」・“片子”・「片側人間」の世界 …75
「片側人間」とは何か？ 「異類婚姻譚」と「鬼の子小綱」の昔話 「異類聟・嫁入り」型の昔話群 「蛇」に対する両義的な態度 「片側人間」の二つのイメージ 「鬼の子」＝鬼と人間のちょうど真ん中 日本文化の内奥に潜む“複雑な差異体系”
神から授かった子どもたち—「申し子」・「宝子」・「福子」の世界 …105
再び「片側人間」を求めて 「異類聟・嫁入り型」の昔話群 「異類女房」系統の昔話群 日本には存在しない「異類婚姻譚」 「片側人間」と神から授かった子ども
「異常児」は異界を覗く「覗き眼鏡」—「お伽草子」と異類婚姻児 …130
「申し子」説話と「鬼子」説話 民衆の願望と「異常児」の運命 『子やす物語』と「異常児」を生んだ老尼 「第六天の魔王」と男女の結合性双生児 福子と鬼子の間を揺れ動く「申し子」たち 配偶者を選び出す異類たち 「異常児」はコミュニケーションの結晶
【参】視角化された異界・妖怪たち
化物屋敷考—『土蜘蛛草子絵巻』を解読する …161
人間の領域を占拠する妖怪たち 錯簡訂正による新解釈 復元上の問題点はどこにあるのか？ 三善清行が買取った「化け物屋敷譚」 『酒呑童子絵巻』の影響を受けた『土蜘蛛草子絵巻』
捨てられた「古道具」のお化けたち—「もったいないお化け」と「つくも神」 …189
多くの人々が忘れてしまったこと 手垢・記憶・たましい 齢を重ねる道具たち 辻に捨てられた古道具と『つくも神絵巻』
「鯰絵」は江戸民衆の記憶装置—社会状況を反映した両義的トリックスター …198
恐怖をやわらげる「護符」 「地震鯰絵」と絵柄の四パターン 地震は“世直し”の予兆！
絵師・漫画家・語り手—三つの“顔”を持つ水木しげるの世界 …206
失われた多様な妖怪文化 現代の「妖怪物語絵巻」 江戸時代以来の伝統に立つ
妖怪文化の継承者・水木しげる—妖怪マンガ・妖怪絵の想像力 …212
“妖気と死臭”が漂う初期の作品 後世の人々は驚くに違いない！ 情熱を傾けた水木版『画図百鬼夜行』
歴史の記憶と森をめぐる「現代の神話」—宮崎駿の映像世界 …219
「お父さん」の職業に注目する 人生を決定的に変えた書物 次第に大きくなる森の位置 歴史物語を装ったファンタジー 人類の深い奈落の淵を見据えつつ…
あとがき …232
初出一覧 …237
