『日本妖怪学大全』
『日本妖怪学大全』
著者:小松和彦 編
出版地:東京
出版者:小学館
出版年:2003.4
大きさ容量等:677p ; 22cm
目次
妖怪と妖怪研究—序論に代えて(小松和彦) …009
一 「妖怪」を定義する
二 妖怪研究の目的
三 妖怪研究の黎明期
四 妖怪研究の新しい展開
I 描かれた妖怪
遊びの中の妖怪たち—近世後期における妖怪観の転換(香川雅信) …031
一 はじめに
二 妖怪玩具とからくり的
三 パロディとしての「妖怪図鑑」
四 妖怪手品と化物蝋燭
五 商品化される妖怪
妖怪浄土双六考(岩城紀子) …065
はじめに
一 妖怪の登場する浄土双六
二 好事家たちの見た「妖怪浄土双六」
(1)耽奇会—西原梭江と「妖怪浄土双六」
(2)考証随筆と「妖怪浄土双六
三 浄土双六と「妖怪浄土双六」
(1)「世俗化」した神仏の世界
(2)「妖怪」たちの住む世界
その後の「妖怪浄土双六」
予言する幻獣—アマビコを中心に(湯本豪一) …103
はじめに
アマビコの形態と特徴
アマビコと他の幻獣との関係
アマビコ情報の伝播と形態の変質
アマビコとはいかなる幻獣か
おわりに
清朝末期の画報に見える日本の怪物報道(武田雅哉) …127
「創作」としての妖怪—馬琴作『化競丑満鐘』の笑い(アダム・カバット) …145
一 はじめに
二 「近代の絵空事」と呼ばれる妖怪
三 『化競丑満鐘』の梗概
四 『化競丑満鐘』の特徴
五 『化競丑満鐘』と黄表紙
六 豆腐小僧の意味
七 おわりに
近世文化における轆轤首の形状について(横山泰子) …179
一 轆轤首の姿形の多様性と問題提起
二 飛頭蛮情報の輸入と名称
三 轆轤首をめぐる言葉と絵画
四 草草紙の轆轤首
五 歌舞伎の轆轤首
六 読本の轆轤首
幽霊・妖怪の図像学(諏訪春雄)…205
一 お化けと幽霊と妖怪
二 幽霊と妖怪を区別する必要性
三 幽霊と妖怪を区別する方法
四 妖怪画の歴史と展開
五 幽霊画の歴史と展開
(1)物語りを背景にもつ幽霊
(2)民俗を背景にもつ幽霊
II 語られた怪異
怨みを背負った旅人たち—廻国・懺悔の怪異空間(堤邦彦) …229
はじめに
一 生きていた手首
二 廻国・懺悔の怪異空間
三 蛇道心の因縁
四 近誉上人の法力と摂取院縁起
五 怨蛇と旅する男
六 仏教唱導と怪談咄のあいだ
『渓嵐拾葉集』に於ける「怪異」の諸相—怪異を記述すること(田中貴子) …257
はじめに
一 天狗
二 狐
三 その他の「怪異」
おわりに
怪談情話論—『壺菫』と『怪談奇縁』(大高洋司) …277
江戸怪談狂言、その祝祭性をめぐって—小平次とお岩の禁忌を考える(高田衛) …295
怪談噺の誕生(石井明) …321
一 はじめに
二 恐怖と不安の原風景
三 恐怖を生みだす仏教思想
四 仏教と話芸のかかわり
五 怪談本と笑話本の流行
六 可視化された怪異と、怪談噺の誕生
七 怪談師による怪談噺の演出
三遊亭円朝の怪談に隠された“王権と幽霊”の物語—「怪談乳房榎」と「怪談牡丹灯籠」(内藤正敏) …351
一 怪談乳房榎
現世と異界
南蔵院の龍・裏鬼門の幽霊
戍亥の榎と異類婚
二 怪談牡丹灯籠
「仇討」と「幽霊」の二つの物語
夢・憑依・貨幣
因果応報のからみあい
境界での殺人
王権と幽霊の物語
III 伝承世界の妖怪・怪異
猿鬼退治伝説考—能登半島・柳田村当目の伝承をめぐって(小松和彦) …393
一 能登半島・柳田村の猿鬼伝説
二 「猿鬼伝記書」(上野家本)の考察
三 猿鬼退治伝説の伝承形態とその起源をめぐって
四 当目の猿鬼伝説の変遷をたどる
五 おわりに
二股の霊性と怪異伝承(常光徹) …425
二股の木に現れた海尉
二股の木をめぐる禁忌伝承
神木と二股の木
二股の木の霊性
俗信における怪異について—真ん中で不思議が起きる(板橋作美) …445
はじめに
部屋の真ん中の怪
十字の怪
三の真ん中の怪
おわりに
「胎児分離」埋葬の習俗と出産をめぐる怪異のフォークロア—その生成と消滅に関する考察(安井眞奈美) …479
プロローグ 福島県会津の「胎児分離埋葬事件」
一 問題の所在
二 「胎児分離」埋葬習俗の分布
三 「胎児分離」埋葬習俗の成立
四 産科医と僧侶の関与
五 「子育て幽霊」と「産女」伝承との関係
六 出産をめぐる怪異のフォークロアの消滅
エピローグ 「水子」をめぐる新しい習俗の登場
鳴弦蟇目と〔ヌエ〕退治—俗信の生成過程(山田奨治) …511
一 はじめに
二 鳴弦について
(1)義家までの鳴弦
(2)義家の鳴弦
(3)鳴弦の現在
三 蟇目と鵼退治
(1)蟇目について
(2)頼政の鵼退治
(3)弓矢による化物退治譚
(4)「鵼」の流布とビジュアル化
(5)江戸期の鵺詮議
四 武力から呪力への転換点—まとめ
(1)修法としての形式化
(2)鳴弦の解明
(3)蟇目の解明
(4)弓矢の呪術
IV 近現代の妖怪・怪異
通俗的「妖怪」概念の成立に関する一考察(京極夏彦) …547
一九二〇年代、〈心霊〉は増殖する(一柳廣孝) …583
一 妖怪を召喚するために
二 文学場のなかの〈心霊〉
三 医学が〈心霊〉を呼び寄せる
四 心霊学・霊学・民俗学の交差—岡田建文を中心に
五 おわりに
魔都をめぐって(鈴木貞美) …599
一 はじめに
二 都会の神秘
三 魔都、東京
化物屋敷再考(橋爪紳也) …619
一 恐怖と楽しみの空間論
二 お化け屋敷の建築学
三 遊園地のお化け屋敷
四 メディアが増殖させる恐怖とタブー
五 カップル向けの恐怖体験
六 ウオークスルー型のお化け屋敷
七 「史上最強のおばけ屋敷」
八 お化け屋敷の現在形
「私、きれい?」—女性週刊誌に見られる「口裂け女」(マイケル・フォスター) …635
はじめに
(1)口裂け女の多数の声
(2)新たなアプローチ
一 共通点を探る
(1)ジェンダー—女性であること
(2)セクシュアリティー—耳元まで裂けた口
(3)美—「私、きれい?」、「私、美人?」等の問いかけ
(4)反抗—顔にかけるマスク
二 マスコミに出現した「口裂け女」
(1)女性週刊誌という語りの場
(2)女性週刊誌に出現する「口裂け女」
(3)整形手術への警告
(4)化粧、変身、抵抗
(5)女性の復讐として
(6)口が裂けてから言う
(7)本物の変身?
おわりに
あとがき(小松和彦) …669
編者略歴・執筆者一覧 …676