妖怪司書の本棚

架蔵の妖怪本の書影・書誌・目次をひたすら誌す。

『公民の民俗学』

f:id:Yokai_Librarian:20210712142801j:plain

『公民の民俗学

著者:大塚英志

出版地:東京

出版者:作品社

出版年:2007.3

大きさ容量等:213p ; 20cm

目次

 

序 「伝統」と「公共」の相剋—柳田民俗学教育基本法 …005

第一章 「母性」をめぐる伝統はいかに作られたか …013

1 民俗学者は何故、架空の血筋を求めたのか …014

2 日本人は母性が強い民族だから母子心中するのか …040

第二章 「妖怪」とはいかに語られたか …059

1 他民族国家論としての「妖怪」論 …060

2 植民地帰順論としての「妖怪」論 …073

3 「幽霊」の国家管理 …093

第三章 「愛国心」は「郷土」と「ムー大陸」へ向かった …105

1 「ユダヤ人」から「公民」へ …106

2 「郷土人」の気持ちは「外人」にわかるか …119

3 ナチズムと民俗学 …138

終章 可能性としての「公民の民俗学」 …159

付論 「重ね撮り」写真とナチス民俗学—「日本民俗学」はいかに創られたか …171

あとがき …205

 

*『伝統とは何か』 (筑摩書房, 2004年)の増訂

『魔除けの民俗学』

f:id:Yokai_Librarian:20210710104001j:plain

『魔除けの民俗学:家・道具・災害の俗信(角川選書)』

著者:常光徹

出版地:東京

出版者:KADOKAWA

出版年:2019.7

大きさ容量等:267p ; 19cm

目次

はじめに-俗信と魔除け …8

I 家屋敷と俗信

第一章 生死と境界の空間—屋根と床下 …18

1 棟 …18
未来の吉凶を見る/棟の俗信/棟越しに投げる餅

2 屋根 …32
怪異と不思議の空間/誕生と屋根/死と屋根/火事と腰巻

3 軒と破風 …48
軒先と軒下は魔除け空間/破風と妖怪

4 床下 …56
上の歯は縁の下へ/床下に潜むもの

第二章 植物と家の盛衰—庭木の吉凶 …68

1 屋根を越える木を忌む …68

2 南天と榎は吉木 …71

3 庭木の禁忌と連想 …74

第三章 他界への出入り口—井戸 …82

1 井戸掘りの吉凶と暦日 …83

2 水位の変化は地震の前兆か …89

3 水汲みに行った者を呼ぶな …94

4 狐の嫁入りが見える-井戸の境界性と他界観 …97

5 井戸を埋めるときはマナコを抜け …104

II 生活道具と俗信

第一章 人生の節目を表象—箒 …114

1 出産に立ち会う箒 …114

2 死者のそばに立てる箒 …120

3 正月は家のなかを掃くな …126

4 人の出たあとを掃くな …130

5 長居の客を帰す呪い …137

第二章 祓う・拒む・鎮める—箕 …142

1 あおる-祓う力 …143

2 たてる-拒む力 …153

3 かぶせる-鎮める力 …157

第三章 禁忌と魔除けの呪具—鍋 …163

1 鍋蓋 …164
鍋蓋の上でものを切るな/憑きものを祓う/蓋をせずに煮炊きをするな/盗んだ蓋で宝くじ

2 鍋 …174
空鍋は炊くな/弦の間からやり取りするな/弦越しの飯や汁を忌む/鍋から直に取って食うな/鍋を叩くと貧乏神が来る
3 鍋墨 …183
幼児の外出と魔除け/履物と鍋墨/鍋尻に火がつくと晴

第四章 欺く・招く・乞う—柄杓 …196

1 船幽霊と底抜け柄杓 …196

2 精霊を招く …201

3 外柄杓を忌む …204

4 力水をつける …208

III 災害と俗信

第一章 地震と唱え言 …216

1 揺れを感じたら「カアカア」と叫ぶ …216

2 地震の呪歌と門の守り …224

3 流言と津波の予兆 …228

第二章 幕末土佐の人と動物—『真覚寺日記』から …239

1 地震と大風-寅の大変と風追いの習俗 …240

2 蚊に家を明け渡す …248

3 猫は腰抜け、鼠は仏敵 …253

4 畳の上に毒蛇 …258

初出一覧 …265

おわりに//266

『殺生と戦争の民俗学』

f:id:Yokai_Librarian:20210710103951j:plain

『殺生と戦争の民俗学柳田國男千葉徳爾角川選書)』

著者:大塚英志

出版地:東京

出版者:角川学芸出版

出版年:2017.3

大きさ容量等:390p ; 19cm

目次

序章 千葉徳爾の『切腹の話』を読む …5

第一章 『山の人生』とワンダーフォーゲル …33

第二章 青年運動としての民俗学 …62

第三章 殺生の快楽 …96

第四章 戦場の民俗学者 …131

第五章 実験の史学という問題 …163

第六章 「固有信仰」としての残虐性 …197

第七章 環境の民俗学 …229

第八章 コラージュする民俗学者 …266

第九章 「閃き」と「排泄」の学問 …282

第十章 日本民俗学の「頽廃」とは何か …314

第十一章 千葉徳爾ロマン主義殺し―再び「聖セバスチャン」殉教図をめぐって …

349

あとがき …384

『偽史としての民俗学』

f:id:Yokai_Librarian:20210708210830j:plain

偽史としての民俗学柳田國男と異端の思想』

著者:大塚英志

出版地:東京

出版者:角川書店

出版年:2005.5

大きさ容量等:268p ; 19cm

目次

第一章 柳田國男偽史 …7

第二章 柳田國男と失われたムー大陸 …35

第三章 柳田國男と『東日流外三郡誌』 …69

第四章 柳田國男と進化論 …111

第五章 柳田國男と野生児 …133

第六章 柳田國男と第六感 …171

第七章 柳田國男GHQ …193

 章外1 柳田國男座敷牢 …225

 章外2 佐々木喜善とメスメリズム …237

 章外3 「日本民俗学」のナチズム起源 …245

あとがき …265

主要参考文献 …269

『怪談前後』

f:id:Yokai_Librarian:20210506131053j:plain

『怪談前後:柳田民俗学自然主義角川選書)』

著者:大塚英志

出版地:東京

出版者:角川学芸出版

出版年:2007.1

大きさ容量等:493p ; 19cm

目次

序章 『遠野物語』序文を読む——未だ民俗学ではない書物として …7

神話剥がしの衝動 民俗学の国策化 佐々木喜善が感じた西欧 隠蔽された西欧オーラ ハーンの影響 日本の発見 文学としての『遠野物語』 田山花袋の指摘 自然主義への批判 花袋の批判 町名変更の謎 小さな読みに立ち戻る

第一章 内面嫌い …51

書きことばと話しことば 文体の選択 テキストの選択 喜善の「文学」 日本語の更新期 花袋による自然主義文学への批判 仮想の文学、『蒲団』 「内面」との距離 私語りの肥大

第二章 野蛮の書式 …87

「タネ」としての柳田 柳田のタネの小説 小説の中の柳田 花袋との文学的やりとり 花袋のこだわり 復調する二人 小説のタネ 落第した挿話 文章の性質の相違 習慣か、奇習か

第三章 隘勇線への視線 …127

「山人論」の背景 「怪談の時代」の柳田の位置 日露戦争大逆事件 政治的な「山神論」 「幽冥談」の天狗 「天狗の話」のフェアリー 「山民の生活」にあるイメージ 「隘勇線」という国境 「隘勇線」と「生蕃」への執着 山人=台湾山岳民族モデル説 支配者の思想

第四章 自然児の人生 …169

『重右衛門の最後』の評価 重要な「方法」 花袋の同情 「同情」の先 事実の改変 モチーフ「自然児」 自然児=原「山人」 来歴否認 花袋の習慣 南方熊楠にとっての山人 自然児から山人へ 柳田の来歴否認

第五章 「私怪談」と現実の更新 …209

不定形な一つの説話 語り手の差異 世界の外の視点 変化する説話の運命 ハーン的リアリティからの離脱 文学の現実化 柳田の神秘体験 「異常心理」の克服 恐怖の世界観 現実の不確かさ 「怪談の時代」からの離脱

第六章 部屋の小説家 …255

「訪ね来る」文学=口承の文芸 訪問し合う文学 喜善の「私」 喜善の自己言及 演出される自己=「室」 喜善の文学的限界 喜善の自己像

第七章 魔法使いの孫 …283

来歴否認者、佐々木喜善 誕生 来歴の認識 上京そして帰郷 現実適応能力の欠如 来歴の発見

第八章 偽私としての安堵 …301

長篇小説の連載事情 来歴の修正 「私」をめぐる物語 喜善の再話の試み 与えられた来歴 誤読の中に生きる「私」 「私」の不在 来歴のない脅え 警察という他者の視線 柳田民俗学への着地 もう一人の柳田國男

第九章 地震と新開地 …339

柳田と高村の影 一国民俗学の拘泥 葉舟の生涯 都市空間の危うさ モチーフ「地震」 女性たちの「私」語り 葉舟の来歴否認 「私」のみの世界認識 現実の所在確認 来歴作りからの逃亡 「大きな物語」への抑止

第十章 手紙の啓蒙家 …385

自己実現する近代の女性 手紙という方法 手紙に侵入する性 手紙・日記の啓蒙書

第十一章 美知代の反撃 …409

師・松浦辰男 「自然主義」の起源 「かくり世」の世界認識 社会の多元性の発見 小説内の現実の外側 岡田美知代の小説 「文学」による支配 支配の書き換え

第十二章 第六感の自然主義 …435

神秘への関心 「怪談」と「幻覚」 「怪談」の再発見 心が感知する領域 手紙の効用 水野葉舟の日記 「心」からの離脱

終章 「世間話」の改良 …459

リアリティの更新 「ことば」の更新 原理主義的自然文学の実験 自然主義運動 ことばの構築 農政学者のキャリア 「世間話」の改良 自然主義運動の行方

あとがき …489

主要参考文献 …492

『「捨て子」たちの民俗学』

f:id:Yokai_Librarian:20210506131048j:plain

『「捨て子」たちの民俗学小泉八雲柳田國男角川選書)』

著者:大塚英志

出版地:東京

出版者:角川学芸出版

出版年:2006.11

大きさ容量等:260p ; 19cm

目次

 

第一章 民俗学とファミリーロマンス …7

第一節 ラフカディオ・ハーンと「ジプシーの血」 _8

父方の名を捨てたハーン 出自をめぐる伝説 「血統」をめぐる「心の屈折」 「ジプシーの話」 民俗学者たちの「血統妄想」

第二節 民俗学と「貰い子妄想」 …20

日本特有の血統妄想か? 来歴を否認する三人の民俗学者 日本には様々な養子形態があった 柳田國男の「やさしい束縛」ハーンと柳田の養子経験

第三節 起源の民俗学民俗学の起源 …35

養子は自己矮小的行為 家の断絶を嫌った柳田 天皇イデオロギーと自身を接続 捨て子への同情 ファミリーロマンスから「民俗学」へ

第二章 民俗学ダーウィニズム的背景 …47

第一節 殺人事件の描き方 …48

新聞記者ハーンの死体描写 「写真」を疑う 三文小説をなぜ擁護したか 「停車場にて」における文学的想像力 民俗学は「事実」から飛躍する

第二節 民俗学と人相学 …60

重ね撮り写真の方法 優生学の方法論 写真と精神医学、犯罪人類学 集団の「内面」への関心 「人相学」を雛形とした民俗学

第三節 天皇イデオロギーは「遺伝」するか …79

進化論的思考 「日本人らしさ」の「遺伝」 夏目漱石の「趣味の遺伝」 記憶が遺伝する ハーンの日本人論 天皇制が近代に残った背景

第四節 ハーンはなぜ「君が代」を論じたか …92

進化論と心霊主義 合成作文 「君が代」が「民族感情」を喚起する 「民族感情」の「遺伝」 「魂の不変」の進化論的解釈

第三章 ナショナリズムと無意識 …107

第一節 「勇子」の気持ち …108

民俗学に内在する母性偏向 遺伝する「民族の感情」 

第二節 「無意識」と民俗学 …122

柳田の「心」の伝承 「無意識」の伝承 無意識の起源 ハーンの再話した「七生」型 前世を呟く子供 無意識の発見 ハーンの降霊術会ルポ 時代に規定された「無意識」と「民族意識」の結びつき

第三節 ハーンの「心」、漱石の「心」 …136

ハーンの「心」 群集から民族心理を読みとる 「雑踏」の法則 ハーンからユングへ 群集の独り言を観察するハーン ざわめきから物語へ

第四章 探偵と民俗学 …153

第一節 犯罪民俗学という隘路 …154

折口・柳田の犯罪への関心 『山の人生』に記された殺人事件 ハーンの犯罪論考 ハーンの犯罪描写 悪人判定法としての人相学 ロンブローゾの主張 犯罪人類学への傾斜 ハーンの現代と古代の犯罪を結びつける視線

第二節 異常心理と伝承 …167

「山人」の発見と近代化の手続き 山人の「血」の証し 柳田の遺伝説的思考 異常心理による犯罪 異常心理の遺伝

第三節 探偵という方法 …180

「立聴」する探偵 柳田の「自然主義の小説」の方法 内面嫌いの民俗学的観察 柳田の探偵的動物監察 「狗の心」に見る探偵的観察法 ハーンの進化論的動物観察 柳田の「節度」とハーンの「過剰」

第五章 偽ハーンの来歴否認 …193

第一節 『異常者への手紙』を読む(I) …194

探偵的方法から重ね撮り写真への変節 新体詩と血統の捏造 捏造されたハーンの書簡集 偽書簡集の持つ説得力 偽書簡集の説話的構造 偽ハーンの「私語り」

第二節 『異常者への手紙』を読む(II) …209 

英雄出生説話と賤民同一化 賤民への傾斜から高貴な血筋の発見へ 偽ハーンの放浪 正伝ハーンのロンドン時代 配偶者は語り部の女 再話作家の書式 近代に埋め込まれたファミリーロマンス 

第六章 捨て子のための民俗学 …223

第一節 ウルフ・チャイルドとゴースト・チャイルド …224

南方熊楠と狼に育てられた子供 子育て幽霊 輪廻する孤児 「子捨川」のもつ子育ての技術 土の中の捨て子 子捨ては社会への養子 子捨てから母子心中へ 母の代償「乳母」の創造 ハーンにみる母性の肥大 

第二節 捨て子の民俗学 …240

「拾い子」は発見された私生児 有賀不興の理由 制度としての子取り 児童の通過儀礼生存権の承認 ハーンの視点 社会病理としての母子心中の発生 柳田國男の着地点

あとがき …255

主要参考文献 …258

『羅城門の怪』

f:id:Yokai_Librarian:20210506131057j:plain

『羅城門の怪:異界往来伝奇譚(角川選書)』

著者:志村有弘

出版地:東京

出版者:角川書店

出版年:2004.2

大きさ容量等:229p ; 19cm

目次

はじめに …9

第一章 羅城門の怪  …11

平安京の羅城門/羅城門の鬼/謎の歌人、蟬丸/鬼が取った玄象

第二章 羅城門の鬼と渡辺綱 …25

酒呑童子伝説/一条戻橋と渡辺綱謡曲羅生門」/大蜘蛛事件

第三章 羅城門再建計画 …43

藤原道長安倍晴明/高階業遠の蘇生/羅城門の再建案/藤原道長と高階業遠/羅城門再建されず

第四章 朱雀門の怪 …61

弓削是雄と鬼/小野篁百鬼夜行/美福門の鬼/朱雀門の鬼と芸術/紀長谷雄朱雀門の鬼/死体置き場の朱雀門朱雀門近くで死を迎えた六宮の姫君/朱雀門倒壊

第五章 応天門の怪 …87

応天門の青い光/応天門炎上/放下の意味

第六章 井戸・泉の怪 …99

井戸と滝/補陀落渡海/小野篁の死の井戸/鉄輪の井戸/神泉苑

第七章 橋の怪 …121

安義橋の鬼/勢田の橋/橋姫/山崎の橋

第八章 異界に棲む悪霊 …137

元興寺の悪霊/井上皇后と他戸皇太子/御霊たち/菅原道真の怨霊/平将門と滝夜叉姫/生きたまま鬼となった女/崇徳院藤原道長後鳥羽院の祟り/さまざまな怨霊

第九章 異界に棲む鬼 …155

鬼魅の意味/鬼の話/百鬼夜行式神/風流と異能の鬼/異界の人間/幽霊と妖怪/怪異と変化/鬼を祓う陰陽師密教僧、そして武士

第十章 異界に棲む天狗 …173

天狗/役行者と天狗/『天狗草紙』の天狗/謎の現象/天狗となった紀僧正真済/仏道の妨げをなす天狗/まやかしをする天狗

第十一章 芥川龍之介の「羅生門」 …191

羅城門と羅生門芥川龍之介の代表作「羅生門」/『今昔物語集』の羅城門説話/「羅生門」と『今昔物語集

第十二章 火野葦平の「羅生門」 …205

芥川の影/ふたつの「羅生門」/火野葦平の「羅生門」の主題

羅城門・朱雀門・応天門関係文献目録抄 …225

あとがき …227